「お店を閉めるくらいなら、設備ごと誰かに引き継いでほしい」「開業コストを抑えて、すぐに営業を始めたい」そんな売り手と買い手をつなぐのが居抜き店舗の売買やオーナーチェンジです。
内装や厨房設備をそのまま残して引き渡す「居抜き」は、飲食店を中心に古くからある取引の形です。近年はこれが単なる物件の受け渡しにとどまらず、売上や客まで含めて事業ごと引き継ぐM&A(事業譲渡)として扱われるケースも増えています。
この記事では、居抜き・オーナーチェンジの仕組みから、売り手・買い手それぞれのメリットとリスク、相場の考え方、そして実際に売る・買うときの流れまでを、事業売買プラットフォーム「ラッコM&A」の視点で整理します。飲食店を主な例にしながら、他業種の店舗にも応用できる形でまとめました。

「居抜き」と「オーナーチェンジ」、似ているようで指す範囲が少し違います。まずはそこから整理していきましょう。
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居抜き店舗・オーナーチェンジとは?

居抜きとは、前のお店の内装・厨房設備・什器などを撤去せず、残したままの状態で引き渡す(引き継ぐ)ことを指します。何もない状態(スケルトン)から作る場合に比べ、設備投資や工事の手間を大きく減らせるのが特徴です。
一方オーナーチェンジは、お店の経営者(オーナー)が入れ替わることそのものを指す言葉です。設備だけでなく、営業中の店舗を売上・常連客・スタッフなども含めてそのまま引き継ぐニュアンスで使われることが多く、この場合は事実上のM&A(事業譲渡)に近い取引になります。
ざっくり言えば、「設備を残して渡す」のが居抜き、「お店そのものを稼働した状態で引き継ぐ」のがオーナーチェンジ、と捉えると分かりやすいでしょう。実務では両者が重なり合うことも多く、どこまで(設備だけか、事業ごとか)を引き継ぐのかが取引の肝になります。
居抜き vs スケルトンの違い
| 居抜き | スケルトン(更地状態) | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 設備が使えれば抑えやすい | 内装・設備を一から揃えるため高くなりやすい |
| 開業までの時間 | 工事が少なく早く開けやすい | 設計・工事に時間がかかる |
| 自由度 | 既存のレイアウトに制約される | コンセプトに合わせて自由に作れる |
| 注意点 | 設備の老朽・残置物の扱いを要確認 | 原状回復・撤去費が別途かかることも |
飲食店は厨房設備・排気・給排水など専用の工事が多く、スケルトンから作ると費用がかさみがちです。だからこそ飲食業では居抜き・オーナーチェンジの需要が特に高いと言えます。
居抜き売却・オーナーチェンジのメリットとは?(売り手・買い手別)
居抜きでの売買は、売り手と買い手の双方にメリットがあります。それぞれの立場で整理してみましょう。
| 売り手のメリット | 買い手のメリット |
|---|---|
| 原状回復(スケルトン戻し)の費用を抑えられる | 内装・設備費を抑えて開業できる |
| 設備を売却価値として評価してもらえることがある | 工事期間が短く、早く営業を始めやすい |
| 廃業よりも損失を抑えて撤退できる可能性 | オーナーチェンジなら既存客・売上を引き継げることも |
| 事業ごと譲渡すれば従業員の雇用を守れる場合がある | 過去の実績を参考に収益を見通しやすい |
特に売り手にとって大きいのが原状回復費を避けられる可能性です。賃貸店舗を解約する際は、本来スケルトンに戻して返す契約が多く、その撤去費用が重い負担になります。居抜きで次の借り手に引き継げれば、その費用を抑えつつ、設備に値段がつくこともあります。
買い手にとっては、開業コストと立ち上げ時間を圧縮できるのが最大の魅力です。さらにオーナーチェンジ(事業譲渡)として引き継げば、ゼロから集客する新規開業と違い、すでに売上と客がいる状態からスタートできる点が見逃せません。
知っておきたいリスク・注意点
- 設備の状態:見た目は使えても、故障間近・耐用年数切れのことがある。引き渡し後の修理・交換費用を見込んでおく。
- 残置物の扱い:「どこまでが譲渡対象で、どこからが撤去すべき物か」を契約で明確にする。
- 賃貸借契約・貸主の承諾:物件オーナーの同意が必要なケースが多い。条件は物件ごとに異なる。
- 各種許可・名義:飲食店営業許可などは原則として引き継げず、買い手側で改めて手続きが必要になることがある。詳細は管轄の保健所や専門家に確認を。
- 前店のイメージ:立地や外観が前のお店の印象を引きずることもある。
なお、営業許可の引き継ぎや名義変更、税務の扱いは、業種・自治体・取引の形(事業譲渡か株式譲渡か など)によって変わります。個別の手続きは管轄の窓口や専門家に確認するのが確実です。
居抜き・事業譲渡の相場はどう考える?
「居抜きやオーナーチェンジはいくらで売買されるのか」は、多くの人が気になるところです。ただし結論から言うと、一律の相場金額を示すことはできません。価格は立地・設備・業態・収益力など複数の要素で大きく変わるため、ここでは「どう考えるか」という枠組みを紹介します。
価格の見方は、大きく分けて次の2つの考え方があります。
- 資産(設備)ベースの考え方:残していく内装・厨房設備・什器などに、状態や残存価値に応じて値付けする見方。設備中心の「居抜き譲渡」で意識されやすい。
- 収益ベースの考え方:お店が生み出す利益に注目し、「何年分の利益に相当するか」といった形で評価する見方。売上・客まで引き継ぐオーナーチェンジ(事業譲渡)で重視されやすい。
稼働中で利益の出ているお店ほど、設備の価値に加えて「事業としての価値(のれん)」が上乗せされやすくなります。逆に赤字や立地の弱い店舗は、設備価値が中心の評価になりやすい、という傾向があります。
相場観をつかむ一番の近道は、実際に売買されている・募集されている案件を見てみることです。似た業態・規模・エリアの案件がどのくらいの価格で出ているかを眺めるだけでも、自分のお店や検討中の物件の位置づけが見えてきます。

「同じくらいのお店がいくらで出ているか」を見ておくと、価格交渉のときにも落ち着いて判断できます。
居抜き店舗を売る側・買う側の流れは?
設備だけの居抜き譲渡から、事業ごと引き継ぐオーナーチェンジ(M&A・事業譲渡)まで、取引の規模はさまざまですが、基本的な流れは共通しています。
売る側(売り手)の流れ
- 情報を整理する:売上・経費・設備の一覧・賃貸借の条件などをまとめる。
- 売り出す・案件を掲載する:相場観を踏まえて希望条件を決め、買い手を募る。
- 買い手とのやり取り・交渉:条件や引き継ぐ範囲(設備のみか、事業ごとか)をすり合わせる。
- 契約・引き渡し:譲渡対象・価格・引き渡し時期を契約で明確にし、貸主の承諾など必要な手続きを進める。
買う側(買い手)の流れ
- 案件を探す:エリア・業態・予算から、条件に合う居抜き・オーナーチェンジ案件を探す。
- 内容を確認する:設備の状態、売上の実績、賃貸条件、引き継ぐ範囲などを確かめる。
- 交渉・条件のすり合わせ:価格や引き渡し時期、残置物の扱いなどを調整する。
- 契約・開業準備:契約後、必要な許認可の取得など開業に向けた手続きを進める(許可の要否・方法は管轄に確認)。
かつて居抜きは不動産会社や知人のつてで探すものでしたが、近年は事業売買プラットフォーム上で、店舗事業が譲渡案件として公開・取引されることが増えています。売上や設備の情報を見ながら比較検討できるため、売り手・買い手の双方にとって探しやすくなっています。
私たちラッコM&Aは、これまでのオンライン事業(サイト・ブログ・アプリなど)の売買に加え、2026年より事業譲渡・株式譲渡など一般のM&A(店舗などオフライン事業・会社の売買)にも対応しています。飲食店をはじめとする店舗の居抜き・オーナーチェンジ案件も扱える範囲が広がり、売主は案件の登録から成約まで無料で利用できます。
居抜き・オーナーチェンジのよくある質問
居抜きとオーナーチェンジは何が違う?
居抜きは主に「設備・内装を残して引き渡す」こと、オーナーチェンジは「経営者が入れ替わり、営業中の店舗を事業ごと引き継ぐ」ことを指す傾向があります。後者は売上や客も含むため、事業譲渡(M&A)に近い取引になります。実務では両者が重なることも多く、引き継ぐ範囲を契約で明確にすることが大切です。
営業許可はそのまま引き継げる?
飲食店営業許可などは、原則として前の経営者の許可をそのまま使うことはできず、買い手側で改めて手続きが必要になることが一般的です。ただし業種・自治体・取引の形によって扱いは異なります。個別の可否や手順は、管轄の保健所や専門家に確認してください。
赤字のお店でも売れる?
可能性はあります。収益が弱くても、設備や立地、業態に価値を見出す買い手がいることがあります。この場合は収益より設備・立地中心の評価になりやすい傾向です。まずは似た案件を見て、どのくらいの条件で取引されているかを確かめてみましょう。
まとめ
- 居抜きは「設備を残して渡す」、オーナーチェンジは「お店を稼働した状態で事業ごと引き継ぐ」イメージ。後者は事業譲渡(M&A)に近い。
- 売り手は原状回復費を抑えやすく、買い手は開業コストと立ち上げ時間を圧縮できる。設備の状態や引き継ぐ範囲の確認が重要。
- 相場は一律では決まらない。設備ベース・収益ベースの考え方を押さえ、実際の案件を見て感覚をつかむのが近道。
- 営業許可・名義・税務などの個別手続きは、管轄の窓口や専門家に確認を。

売るにしても買うにしても、まずは実際の案件をのぞいて相場感をつかむところから。気になったら気軽に探してみてください。









