一般的にスモールM&Aとは、小規模事業や小規模な会社の買収および売却を指します。
スモール・小規模の定義は厳密に定義されておりません。
本記事では譲渡金額が1,000万円以内の売買をスモールM&Aとみなします。
スモールM&A(事業譲渡)で累計4,600件以上(※2024年12月現在)の成約実績があるラッコM&Aが、最新の成約情報を交えてスモールM&Aについて解説します。
目次
スモールM&Aの金額感
スモールM&Aでは、個人・サラリーマンの自己資金で手が届く売買案件が多いです。
数十万〜数百万円の譲渡金額が一般的ですが、ラッコM&Aのオンライン事業に関しては数万円〜で販売されている案件もあります。
この項目では、ラッコM&AのスモールM&A案件情報をもとに、価格帯別の特徴を解説します。
数万円~50万円以下の案件
売上が数千円から数万円程度の小規模な案件が中心です。
- 毎月数千円程度の売り上げが立つアフィリエイトブログ
- 毎月2万円ほどの利益のあるYouTubeアカウント
- 直近数か月で売上は立っていないが、仕入れ先や在庫・ノウハウが引き継がれるEC事業
収益性が高い案件は多くありませんが、小規模な売上や固定ファン・運営ノウハウを売主から引き継ぐことができます。初期費用を抑えつつ事業・副業を始めたり、経験を得たりするのに役立ちます。
50万円~300万円の案件
売上や利益が立っている案件が増える価格帯です。
- 毎月10万円以上の利益があるブログやYouTubeチャンネル
- 売主から外注先が引き継がれる、外注費用のみで運営できる高利益のYouTubeチャンネル
- 毎月数十万円の売上が立つEC事業
この価格帯では収益性の高い事業が多く見られるようになります。
事業運営を通して毎月安定した収益を得たい・将来的に独立を目指したい買主におすすめです。
また、買主が事業の関連分野に知見がある場合は、自分のノウハウを活かすことで収益性を大きく向上させられる可能性があります。
「自分ならこの事業を大きく伸ばせる」と感じるものがあれば、積極的に交渉を申し込んでみましょう!
特徴としては以下のようなものが挙げられます。
- 利益に対して売却希望価格が適正である
- 毎月安定して売上・利益が立っている
- 買主が安心して事業を購入できる
- 売上・利益が立っているエビデンスが詳細に提示できる
- 事業の情報が詳細にわかる
- 譲渡後の引継ぎ・サポートが充実している
- 競合する価格帯の事業と比較して優位性がある
M&Aマッチングサイト上で買主が見つかるのは、買主候補の目に留まり、「この事業を購入したい」と交渉を申し込んでもらえる案件です。
どのような案件が成約しているのか、まずはM&Aマッチングサイト上で確認してみましょう!
300万円~1000万円の案件
直近の月額利益が100万円を超えるYouTubeチャンネル、月間200万PV以上の独自WEBサービスなど、事業としてスケール感の大きい案件が増える価格帯です。
初めから大きな売上・利益の事業を運営できるため、事業スケールや収益性を拡大する時間を大きく削減することができます。
スモールM&Aのメリット・デメリット
1億円以上の規模・企業同士のM&Aに比べ、スモールM&Aにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
この項目では、買主・売主視点におけるスモールM&Aのメリットを解説します。
スモールM&A:買主のメリット
スモールM&Aは、買主にとってはリスクを抑えながら事業運営のチャンスを得られる方法です。
資金面:個人や学生・サラリーマンでも参入できる
少額の資金で事業を買収し、事業運営を始められるのがスモールM&Aの大きな特徴です。
数十万円から数百万円程度の投資で、すでに実績のある事業を手に入れることができるため、サラリーマンや学生でも自己資金や小規模な借入れで始めることができます。
既存のスキルを活かせる
本業で培ったマネジメント経験や専門知識を、買収した事業でも役立てることができます。
専門知識を活かして記事の製作・監修を行ったり、マネジメント経験を活かして外注先に適切な指示を出す・効率化するなど、既存のスキルを活かして買収した事業をさらに成長させられます。
時間コストの削減
スモールM&Aで既存の事業を引き継げば、事業立ち上げに必要な時間コストを大きく削減することができます。
ゼロから事業を始める際は、市場調査や外注先の手配、WEBサイトの作成・ユーザー/顧客獲得のためのマーケティングなど、想定できる範囲でも様々な時間コストのかかる仕事があります。
スモールM&Aで既に軌道に乗っている事業を引き継いでしまえば、既存のユーザー/顧客に対して既存のサービスを続けることで売上/利益が確保できるため、事業立ち上げの労力・時間コストを大幅に削減できます。
スモールM&A:買主のデメリット
スモールM&A特有の、買収時のデメリットを紹介します。
案件を自分で見つける必要がある
スモールM&Aでは専任のM&Aアドバイザーなどの担当者がつかないため、希望の案件は自分で検索して見つける必要があります。
希望の案件が市場に出ていない場合は、条件を決めておく・マッチングサイトの新着通知をONするなどして、根気よく待つのが重要です。
買収後の運営リスクがある
事業規模や取引価格が大きくないスモールM&Aでは、予期せぬ運営リスクの発生や調査漏れが起こる可能性があります。
スモールM&Aでは会社や事業の規模が小さいため、買収後に問題なく事業運営を続けていたとしても、不測の要因(元請けとの取引停止、市場変化や大手企業の市場参入など)によって業績が大きく悪化する可能性があります。
初期費用や固定費が少ないことからトータルの損失も小さく済むことが多いですが、運営を続ける中でのリスクがあることは留意しましょう。
リターンが小さくなりやすい
スモールM&Aでは得られるリターンが少額になりやすいです。
例えばオンライン事業の場合、譲渡価格は利益の12か月分~数年分が一般的な相場となるため、初期投資が小さいとその分得られる利益も小さくなります。
スモールM&Aによって大きなリターンを得たい場合は、初期投資を増やして高利益な案件を買収するか、事業をスケールアップすることを前提に買収する案件を探しましょう。
スモールM&A:売主のメリット
キャッシュの確保や事業の継続を実現する手段として、スモールM&Aが活用されています。
資金確保
事業を売却することで、まとまった資金を一括で得られます。
売却資金は、新規事業の立ち上げ資金や主力事業への投資、事業の運転資金の補填などに充てることができます。
事業整理
「収益を生み出すポテンシャルはあるのに、手が回らないために休眠している事業がもったいない」と感じている人にスモールM&Aが役立ちます。
ポテンシャルを折り込んだ価格でマッチングサイトに掲載し、その価値を認めてくれる買主に事業を売却することで、実稼働時間を抑えて大きな収益を得ることができます。
思い入れのある事業を引き継げる
長年続けてきた思い入れのある事業だが、後継者不足、体調の問題、多忙で事業に手を入れられない・・・などのために事業継続が難しい場合、スモールM&Aを通じて事業を買主に引き継ぐことができます。
「事業の形態を変えないでほしい」「顧客を大事にしてほしい」など、条件を承諾してくれる買主を探すことで、思い入れのある事業の形を大きく変えずに買主に継続してもらうことが可能です。
スモールM&A:売主のデメリット
スモールM&Aで事業を承継する際に生じるデメリットを紹介します。
買主が見つからない
M&Aマッチングサイトに登録しても、買主から交渉が来ない・成約しない可能性があります。
買主がつくかはスモールM&A市場によって大きく左右されるため、事業の売却希望額は柔軟に変更しましょう。
個人保証のトラブル
株式譲渡によるM&Aの場合、買主から売主への債務保証の継承手続きを行わないと、後にトラブルに発展するリスクがあります。
契約締結の際には、弁護士や会計士の助言を得て、個人保証解除の手続きを明確化し必要な手続きを適切に行いましょう。
引継ぎ時のトラブル
スモールM&Aでは当事者間でやり取りを行うため、事業を引き継ぐ際に買主にスムーズに引き継げない・引き継ぎ完了後に買主から想定外のクレームが来るなどのトラブルが発生するケースがあります。
買主を選ぶ際には、事業を引き継ぐスキルを持っているか・話が通じる/誠実な人柄であるかを考慮しましょう。
譲渡後の過剰なクレームを防止できるよう、契約書作成時に弁護士の監修を受けるのもおすすめです。
スモールM&Aの成約事例
スモールM&Aではどのような事業が売買されているのでしょうか?
この項目では、ラッコM&A上で成約したオンライン事業の案件情報をピックアップしてご紹介します。
オンライン事業の売買プラットフォーム:ラッコM&Aでは、毎月100件以上のスモールM&A(事業譲渡)が成約しています。
※2024年12月現在
1:100均アイテムのレビューサイト
種別 | WEBメディア |
成約時の希望売却価格(税込) | 780,000円 |
売上/月 | 43,800円 |
利益/月 | 42,900円 |
掲載から成約までの期間 | 46日 |
当案件では、100均アイテムのレビューをメインに扱う特化サイトが譲渡されました。
売却価格に対する利益の比率が高めである点・550記事以上のコンテンツボリュームが魅力です。
記事の外注先も譲渡対象に含まれているため、運営に手がかからないのが魅力です。
参考:【最終値下げ】【最高月間約30万PV】100均アイテムのレビューやコラムに特化した暮らし情報サイト
2:初心者~中級者向け英会話学習サイト
種別 | WEBメディア |
成約時の希望売却価格(税込) | 320,000円 |
売上/月 | 8,000円 |
利益/月 | 8,000円 |
掲載から成約までの期間 | 90日 |
当案件では、初心者向けの英会話コンテンツを取り扱うWEBサイトが譲渡されました。
英会話アフィリエイトやアドセンスで・8,000円の収益が上がっている毎月30,000PV強のサイトですが、掲載の10か月ほど前までは月間15万PV以上を獲得していました。
当案件は、コンテンツのポテンシャルに大きく価値が感じられる案件です。
英会話など、検索需要が長期的に大きく変動しないジャンルでのPV数の下落は、Googleのコアアップデートや競合出現など、外部要因による検索順位下落が原因のケースが多いです。
購入後にしっかりとSEO対策を行い、既存のコンテンツの検索順位を復活させられれば、事業の収益性を大きく向上させられる可能性があります。
参考:【instagram総フォロワー数3万人】Shopify無在庫 韓国ファッション通販サイト
3:欧州車部品・パーツの輸入代行サービスサイト
種別 | WEBメディア |
成約時の希望売却価格(税込) | 2,240,000円 |
売上/月 | 320,000円 |
利益/月 | 64,000円 |
掲載から成約までの期間 | 93日 |
当案件では、欧州車(ベンツやBMW)の部品・パーツの輸入代行サービスが譲渡されました。
仕入先の情報や、販売サイト、顧客などを含めたEC事業がまるごと譲渡される案件です。
客単価がスモールM&Aで取り扱われる案件としては高額(1注文あたりの利益が数万円)であることと、在庫を持つ必要がないのが魅力です。
自動車修理店の事業拡大や、自動車好きの個人など、自動車に関する知識がある方に最適と言えます。
参考:BMW・メルセデスベンツ等の欧州車部品・パーツの輸入代行サービスサイト、別途アフィリエイト・アドセンス収入あり
過去の成約実績はこちらからチェック!
オフライン事業を運営する場合、事業の譲渡金額だけでなく、初期費用(賃貸物件の契約切り替え費用・保証金)や毎月の固定費(店舗の賃貸費用や光熱費ほか)発生します。
特に固定費は売上に関係なく発生するため、事業の収益が落ちたときや本業が忙しく事業を回せないとき、金銭的な負担が大きくなる可能性があります。
一方でオンライン事業は、初期費用・固定費が少ないため、買収後に運営に失敗したとしても資金の損失は最小限で済みます。
初めての事業運営でも金銭的なリスクを想定しやすいため、個人がスモールM&Aで事業を買うならオンライン事業がおすすめです!
スモールM&AにおすすめのM&Aマッチングサイト
2024年現在、スモールM&Aに取り組みたい際は、M&Aマッチングサイトの登録がおすすめです。
事業を買いたい人と売りたい人を結びつけるM&Aマッチングサイトでは、どのサイトでも1000万円以下のスモールM&A案件が多数掲載されています。
この項目では、おすすめのM&Aマッチングサイトを解説します。
ラッコM&A
ラッコM&Aは、オンライン事業の売買に特化したM&Aマッチングサイトです。
特に個人ブログやSNSアカウント、収益化済みのYouTubeチャンネルなど、会社ではなくオンライン事業そのものを譲渡対象とする案件が多いのが特徴です。
固定費が安めの小規模案件が多いため、スモールM&Aで事業を買収し、副業や小規模事業を始めたい個人・サラリーマンに向いています。
バトンズ
バトンズは中小企業から比較的大規模な案件まで幅広い取引が可能なM&Aマッチングサイトです。
主に事業承継や企業買収を考える法人向けの案件が多く、地方の中小企業を含めた多様な業種が登録されています。
地元や、特定の思い入れのある地域など、地域密着型の会社・事業を引き継ぎたい人に最適です。
トランビ
TRANBIは中小企業から大企業までの幅広い案件が掲載されているM&Aマッチングサイトです。
スモールM&Aとしては資金規模が大きい案件も多く、成約後のスケールアップを視野に入れたM&Aを実現できます。
バトンズと同様、地域密着型の会社・事業を幅広く探すことができます。
スモールM&Aにおける買収(購入)の流れ
「会社・事業を買いたい」と思ったとき、どのようにスモールM&Aを進めれば良いのでしょうか?
数億円単位の資金と多くの法人担当者が関わる大規模M&Aと異なり、スモールM&Aでは売主・買主の当事者間でのやり取りで完結することがほとんどです。
この項目ではスモールM&Aで会社や事業を購入する流れを紹介します。
1:M&Aマッチングサイトに登録する
まずはM&Aマッチングサイトに登録しましょう。
スモールM&Aでは事業の売主・買主をつなぐM&Aマッチングサイトが利用されるケースが多いです。
自分の購入したい事業(オンライン事業・中小企業・オフライン事業)に応じて、適したM&Aマッチングサイトを選択してください。
オンライン事業を探したいときはぜひラッコM&Aに登録ください!
累計掲載数10,000件以上、毎月300件以上の新規オンライン事業(サイト・SNS運営のWEBメディア事業など)が掲載されています。
2:案件を探す・交渉を申し込む
マッチングサイトで購入したい案件を見つけたら、売主に交渉を申し込みましょう。
人気案件には多数の買主が殺到するため、売主に注目してもらえるように熱意をしっかりと伝えましょう。
例えばラッコM&Aの場合、成約した案件の約7割以上で、掲載後24時間以内に最初の交渉申込が発生しています。
プラットフォームの案件登録が活発な時間を見計らったり、(機能がある場合)売買案件の新着通知を受け取れるようにして、優良な案件の登録を見逃さないようにしましょう。
3:売買交渉
売主と売買交渉を進めます。誠実で速やかな対応を心がけましょう。
交渉や経営情報の聞き取りを進めるのと並行して、ユーザー視点の事業の質もチェックしてください。
- オンライン事業:譲渡対象と競合となるものを比較し、将来性が期待できるかを確認する
- 株式譲渡:会社の口コミや評判、従業員の士気などを調査する
- オフライン事業:口コミや評判、実店舗の客入り・サービスレベルなどを確認する
4:デューデリジェンス(株式譲渡や大規模な案件)
特に株式譲渡による売買を実施する場合、契約締結の前にデューデリジェンス(詳細調査)を行いましょう。
専門の弁護士や会計士に依頼し、売主の故意・過失に関わらず、交渉の際に確認できなかった・隠されたリスクがないかを十分に確認してください。
※事業譲渡の金額よりもデューデリジェンス費用が高額となるケースもあるため
買収する事業にもよりますが、特に以下のようなポイントをチェックするとリスクを抑えられます。
・収益に虚偽がないか?
・収益エビデンスに虚偽がないか?
・リスクのある手段(ブラックハットSEOやチャンネル登録者/フォロワーの購入など)で見せかけの数字を作っていないか?
5:事業譲渡契約
双方が売買取引を正式に進めることに合意し、取引条件のすり合わせを行ったら、事業譲渡契約締結(株式の場合は、株式譲渡契約)に進みます。
契約書には重要な条件を明記できているか、不利な条項が盛り込まれていないかなど、締結に当たってのリスクを最小限に抑えるために弁護士のサポートを受けましょう。
ラッコM&Aでは、弁護士監修の事業譲渡契約書(テンプレートと取引条件を元に自動生成))をご利用頂けるため、初心者でも安心して事業譲渡契約が行えます。
追加で条項を盛り込みたいときや、既存の条項でリスクがカバーされるか不安な場合は、無料のチャット相談機能でラッコM&A専属弁護士から直接アドバイスを受けることができます。
6:支払い(エスクローサービス利用)
契約締結後、買主が売買代金をM&Aマッチングサイトに支払います(エスクロー入金)。
スモールM&Aでのエスクローは、一般的に以下の流れで行われます。
- 買主:事業譲渡の開始前にM&Aマッチングサイトに送金
- 売主:事業を譲渡
- 買主:譲渡された事業の検収完了
- M&Aマッチングサイト:売主に売買代金を送金
譲渡・引継ぎが完了し、買主が譲渡された事業の検収を完了するまでM&Aマッチングサイトが売買代金を預かるため、「代金を支払ったのに事業が譲渡されない」「売主が資金を持ち逃げした」などの取引リスクを回避できます。
※M&Aマッチングサイトがエスクローサービスを導入していない場合は、契約書で定めた代金決済方法に従って支払いを行います。
7:譲渡・引継ぎ
実際の事業譲渡や運営の引き継ぎを行います。譲渡後のスムーズな運営のために、売主と積極的にコミュニケーションをとり、ノウハウや譲渡対象物の継承を進めましょう。
8:検収・取引完了
譲渡・引継ぎが完了したら、買主は検収(譲渡された事業に事前に伝えられていない問題などがないか等の最終確認)を行います。
問題がなければ、買主が検収完了を売主・M&Aマッチングサイトに報告します。
検収完了後、M&Aマッチングサイトから売主に売買代金の送金が行われ、全ての取引が完了します。
※当記事では一般的なM&Aプラットフォーム上での事業譲渡・株式譲渡の流れを掲載しています。
ラッコM&A上の案件購入方法についての詳細は下記記事をご覧ください。
サイト購入の流れ
スモールM&Aにおける譲渡(売却)の流れ
「後継者がいない小さな会社や、育ててきた事業を誰かに売りたい」と思ったとき、どのようにスモールM&Aを進めれば良いのでしょうか?
この項目ではスモールM&Aにおける譲渡(売却)の具体的な流れを紹介します。
1:M&Aマッチングサイトに登録する
まずはM&Aマッチングサイトに登録しましょう。
当事者間(売主・買主)での取引が行われることの多いスモールM&Aでは、より有利な条件で譲渡を進めるために、M&Aマッチングサイトに案件を掲載して買主を募るのが一般的です。
登録時に、事業内容や強み、売却希望額、買主に望むこと(例:従業員の雇用の継続、事業のスタイルを変えないでほしい)などを明確に記載しましょう。
M&Aマッチングサイトに売却する事業を掲載する際は、情報が正確であるのはもちろん、ネガティブな点も隠さず誠実に記載するのが買主の信頼を得るコツです。
取引中に破談になる可能性はもちろん、取引完了後にトラブルになるリスクも下げられます。
2:買主の問い合わせを待つ
案件情報が公開されたら、買主の問い合わせ(交渉の申込み)を待ちます。
買主の属性(個人/法人や本人確認の有無など)が事前に確認できるM&Aマッチングサイトであれば、信頼できる買主に絞って交渉を許可することもおすすめです。
- 希望売却価格を下げる・条件を緩和する
- 売却事業のアピールポイントをより詳細に記載する
- 他のM&Aマッチングサイトにも登録してみる
3:交渉・事業情報の提供
問い合わせがあった買主と交渉を進めます。事業や経営状況の詳細を共有し、買主が抱える疑問に丁寧に回答しましょう。
明確な情報と誠実な対応が、買主に好印象・安心感を与えます。
また逆に、買主の返答が著しく遅い・やり取りが丁寧でないといった場合、のちの取引トラブルに繋がりやすい相手とも考えられるため、信頼できる買主かどうかを交渉の段階で慎重に見極めましょう。
例えば、SEOの流入キーワードを全ての買主候補に公開すると、悪意ある買主に利用され、検索順位を奪われる・売却案件の価値が毀損されるリスクがあります。
こうしたリスクを防ぐため、特に重要な情報は交渉がある程度進んだ段階や、契約締結後に開示することをお勧めします。
4:デューデリジェンス(株式譲渡や大規模な案件)
(特に株式譲渡・大きめの規模の案件の場合)買主からデューデリジェンスを求められたら誠実に対応しましょう。
会社や事業の情報を整理し、必要な書類やデータを速やかに提供することで買主の信頼を得られます。
5:事業譲渡契約
双方が売買取引を正式に進めることに合意し、取引条件のすり合わせを行ったら、事業譲渡契約締結(株式の場合は、株式譲渡契約)に進みます。
契約書には重要な条件を明記できているか、不利な条項が盛り込まれていないかなど、締結に当たってのリスクを最小限に抑えるために弁護士のサポートを受けましょう。
ラッコM&Aでは、弁護士監修の事業譲渡契約書(テンプレートと取引条件を元に自動生成)をご利用頂けるため、初心者でも安心して事業譲渡契約が行えます。
追加で条項を盛り込みたいときや、既存の条項でリスクがカバーされるか不安な場合は、無料のチャット相談機能でラッコM&A専属弁護士から直接アドバイスを受けることができます。
6:買主の支払いを待つ(エスクローサービス利用)
契約締結後、買主がM&Aマッチングサイトに売買代金を支払うのを待機します(エスクロー入金)。
スモールM&Aでのエスクローは、一般的に以下の流れで行われます。
- 買主:事業譲渡の開始前にM&Aマッチングサイトに送金
- 売主:事業を譲渡
- 買主:譲渡された事業の検収完了
- M&Aマッチングサイト:売主に売買代金を送金
譲渡開始前に買主がM&Aマッチングサイトに代金を支払い、その後の譲渡・引継ぎおよび買主による譲渡物の検収完了までの間、マッチングサイトが代金を預かるため、売主は「譲渡したのに支払われない」「サイトや重要情報を持ち逃げされた」といったリスクを回避できます。
エスクローサービスが導入されたM&Aマッチングサイトを使うことで、売主・買主双方が安心して取引を行うことができます。
※M&Aマッチングサイトがエスクローサービスを導入していない場合は、契約書で定めた代金決済方法に従って支払いを行います。
7:譲渡・引継ぎ
事業の譲渡や運営の引き継ぎを行います。
契約書の譲渡対象物以外に、事業に関するサポートの取り決め(運営マニュアル・ノウハウの提供や譲渡後の運営サポート期間など)をしておくと、引継ぎがよりスムーズになります。契約書に明記していない場合は、売主によるサポート範囲などの認識齟齬がトラブルに繋がらないよう、当事者間でしっかりと協議して決定しましょう。
8:検収・取引完了
譲渡・引継ぎが完了したら、買主は検収(譲渡物に不足や、事前に伝えられていない問題がないか等の最終確認)を行います。買主から検収中に質問を受けたら丁寧に対応しましょう。
検収に問題がなければ、買主は売主またはM&Aプラットフォームに検収完了の旨を報告します。検収完了報告を受けて、M&Aプラットフォームは預かっている売買代金を売主に支払います。これで全ての取引が完了です!
※当記事では一般的なM&Aプラットフォームでの事業譲渡・株式譲渡の流れを掲載しています。
ラッコM&A上の案件購入方法についての詳細は下記記事をご覧ください。
サイト売却の流れ
スモールM&Aにおける事業譲渡と株式譲渡
スモールM&Aで売買されるものは、株式か事業のいずれかです。
- 株式譲渡:会社そのものを売買
- 事業譲渡:事業のみを売買
それぞれに特徴があり、取引の目的や状況によって選ばれる取引形態が異なります。
株式譲渡:会社を引き継ぎたい人におすすめ
株式譲渡は、会社そのものを買う方法です。
「地方の中小企業を買収して経営を続けたい」というケースであれば、この取引方法が最適です。
売買対象には以下が含まれます。
- 資産:設備、売掛金、預金など。
- 負債:銀行からの借金、買掛金など。
- 契約:顧客との契約、土地建物の賃貸借契約など。
- 従業員:従業員(正社員・アルバイトなど)の既存の雇用契約。
- リスク:会社の過去の経営活動に伴うリスク(未払いの税金、訴訟リスクなど)。
株式譲渡は会社の経営基盤をそのまま引き継ぐことができますが、負債(借金・未払いの税金)や過去のリスクなども引き継ぐことになるため、専門家に購入前のデューデリジェンス(精密調査)を依頼することが必須であると言えます。
企業の価値や実態はもちろんですが、訴訟リスク・粉飾決算や未払い残業代など、隠された問題がないかを確認します。
スモールM&Aに際して法律・財務・税務の各項目での最低限のチェックを行いたい場合、合計150万円~ほどの専門家への依頼料が発生します。
事業譲渡:リスクを抑えて事業を始めたい人におすすめ
事業譲渡は、特定の事業や資産のみを買う方法です。
負債やリスクを引き継ぐ可能性を株式譲渡よりも抑えられるため、個人・サラリーマンの副業や、スモールビジネスのスタートにぴったりです。
事業譲渡では、契約書上に明記した事業運営に関わる資産が譲渡されます。
- オフライン事業:店舗設備、顧客リスト、ブランドなど
- オンライン事業:SNS/ECサイトのアカウント、Webサイトそのもの、ドメイン、EC在庫など
事業譲渡は、株式譲渡よりも隠れたリスクが発生しにくいため、個人・サラリーマンが低リスクで副業や新規事業を始められる方法として最適です。
なお、賃貸契約や雇用契約など、個人や法人に紐づく契約は事業譲渡の際に買主が再契約・名義変更を行う必要があります。
特にオフライン事業の譲渡を受ける際は、事業運営に必要な契約が漏れなく引き継がれるか、綿密に打ち合わせを行いましょう。
コラム:10万円で買える【会社】について
事業承継プラットフォームでは、10万円~100万円で買える会社が見られますが、価格だけでなく以下のポイントも考慮する必要があります。
- デューデリジェンスのコスト:150万円ほど~
- 潜在的な・見えないリスク:将来的に成長する見込みがない、訴訟や土地トラブル等
- 時間的コスト:オーナーのスタッフとしての長時間労働が必要
- 負債:企業の負債を返済し続ける必要がある
買収する会社の価格だけでなく、デューデリジェンスにかかる資金、事業の将来性などを総合的に考慮しましょう。
コラム:オンライン事業は個人・サラリーマンの副業におすすめ!
オンライン事業であればさらにリスクを抑えられるため、個人・サラリーマンの副業に最適です。
オフライン事業を買収した場合、店舗のレンタル費用や光熱費などの大きな固定費が発生することが多いです。
買収価格が安価だったとしても、不測の事態で売上が下落・消失した場合には、これらの固定費だけがのしかかり、手持ち資金を削られるリスクがあります。
また、撤退を考える場合も、すぐに事業を売却できるとは限らず、その間の固定費の負担を背負わなければならない可能性があります。
一方で、オンライン事業は固定費が少ない傾向にあり、万が一の際のリスクが抑えられます。
たとえば、WEBサイトの場合はレンタルサーバーやドメインの管理費(月1,000円程度)、ECサイトの場合は仕入れ在庫の費用やECサイトの利用料が主なコストになります。
オフライン事業に比べて固定費が少ないため、収益が一時的に落ち込んだとしてもオーナーの継続的な負担になりにくいです。
このためオンライン事業の買収は、特に初めての副業に取り組む方や小額でリスクを抑えたい方にとって理想的な選択肢といえます。
まとめ
スモールM&Aでは数十万円ほどの少額から事業を購入できるため、個人の自己資金で事業運営の機会を得られます。
リスクを抑えながら自分のスキルや経験を活かしたビジネスに挑戦でき、ゼロから起業するよりもスムーズにスタートできます。
「まずは副業レベルで事業を始めてみたい」
「リスクを抑えて本格的に事業運営を試してみたい」
という方にとってスモールM&Aは理想的な選択肢です。
特にオンライン事業をスモールM&Aで買収して事業参入するのは、個人や副業を始めたいサラリーマンにぴったりです。
初期投資が少なく、月々の固定費も抑えられるため金銭的なリスクが小さい点と、本業の影響を受けづらい点(オンラインのため転勤があっても事業を安心して継続できる・時間的な制約が少ない)が魅力です。
実績のあるブログやECサイト、YouTubeチャンネルを手に入れれば、既存の売上やノウハウを引き継ぎながら、事業をさらに成長させるチャンスが広がります。
まずはラッコM&Aにアクセスしてみましょう!
売り出されたばかりの案件が多数掲載されています。